麻痺性斜視手術を受けて

2013年、事故により左目に複視を発症し、突然のことで、驚き、悲しみ、
不安でいっぱいの私に判断の材料をくれたのはインターネットでした。

2014年5月に手術し、現在、日常の不便を解消し、元気に暮らせています。
手術をしてくださったのは医師ですが、その先生に出会うことができたのもネットのおかげでした。
インターネットには膨大な情報がありました。いいかげんなものも確かに多いですが。

ひとつの事例としてこの記録をしておこうと思います。
よくなっていかなくて、私のように必死の思いでネット検索をしている方のためになれば。

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【事故と複視発症】
2013年6月末、3メートル程の高さからの落下、頭をひどく打つけがをしました。
運よく大事には至らずに済みましたが、すぐ目に異常が出てきました。
両目で見ると、ものが傾いて二重に見えるんです。
こんなふう ↓

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▲ 「聴いて観て話しメモする!By watasumu」さんから画像をお借りしました。

【1か月ごとに通院】
複視、上斜筋麻痺、滑車神経麻痺と言われました。
しばらくビタミン剤を服用し、経過観察をすることになりました。
頭を打ったショックで一時的に起こることが多く、治るパーセンテージが高いそうですが、
残念ながら、私の場合はズレがよくなるどころか悪化していきました。

【3か月後】
事故のとき搬送された病院の眼科にかかっていたのですが、
「3ヶ月たって変化なしとのことで、大学病院へ紹介して手術です。どうしますか。」と言われました。

突然のことで驚いたのと、眼球を手術する怖さと、何をもって判断するのか、
材料もなにもなく、質問をしたり、さらに大学病院で診察をしてもらえるのかと尋ねました。

何百人も手術待ちの状態なので、そんな暇はない、手術するのでないのなら紹介できないと言われ、
また、こういう症状を専門的にやっているところを教えてほしいと申しましたら、
そういうところはないと言われました。

【7か月後】
憤慨してそこにはもう通院しくなり、日々の慌ただしさに紛らわしながら、
立ち向かう気力も失いつつありました。
体の方は、頭が常に右に傾いているようになりました。
頭を傾けることで、ずれを軽減しようと無意識にやっている行動だそうです。
これによる肩こりも相当ひどくなっていました。

鍼やカイロなどいろいろあちこちトライしましたが、複視の症状は変わらず、
自分の中でどうするか、このままでいる期限を切らなければ時間だけが過ぎていく…
家の中の明かりのスイッチに触る手の位置もずれるようになってしまった日、
「これから」のことを思い、いずれにせよ自分でなんとかしなきゃ何も変わらない、
向かっていかなきゃと思いました。

日々、ネットで調べたり、考えたりした結果、兵庫医大病院に行くことにしました。
斜視を専門で診られています。

兵庫医大では、今までやったことのないさまざまな検査がありました。
その検査を受けている段で、本当に来てよかったと思ったくらいです。
検査スタッフの方々の対応もとても親身でした。
検査の結果、左目に相当のずれがあることがわかり、手術しかないと言われました。

この手術は、以前の状態へと治すものではなく、日常生活の不便を軽減するというものです。
私の場合は、白目を支えている筋肉のうち2本の位置をずらし、正面と下方向の複視を解消します。
言い換えれば、上と横方向には複視があるという状態です。
麻痺してしまった筋肉はもとには戻らないのですから。

さらに「麻痺ではない方の目を手術する」といわれ、驚いて聞いたら、
麻痺側の手術よりも健康な方の手術をする方が、
手術は簡単で術後の戻りがでる確率も、麻痺側を手術するよりも低いとのこと。
統計的に見てこの方法が多い、と言われました。

手術後の矯正に備えて「プリズムシール」を眼鏡に貼って、ひと月過ごしました。
眼鏡のレンズに貼るので、一時的なものではありますが、こんなに楽になるとは!と驚きでした。
まったく知らない物でした。

【セカンドオピニオン】
知人から斜視を見てくださる医師を紹介してもらい、伺いました。
もうプリズム眼鏡で調整できる範囲は越えており、手術の域だと言われました。
手術の具体的な方法にはさまざまあり、医師によって、また、患者の症状の具合により
選択が異なるから、何ともいえないとのこと。

望みを持って、東洋医学でのアプローチも続けていましたが、
小さな子どもとの生活、自分のこれからのことを考えると
私は少しでも生活しやすくなること、
痛みや苦痛を軽減すること優先で、
健眼の手術を納得して進んでいかねば、と決心しました。

【手術】
申し込んで4か月待った後、手術を受けました。
発症して11か月です。
手術直前の検査の結果、私の状態は単に事故だけとは言い切れず、
事故後、料理やパソコン、読書などやれていたことから
麻痺した左目の調整力が強かったこと、
先天的な可能性(斜位)なども検討され、
健眼ではなく、患眼の左目を手術することになりました。

さんざん悩み決心した健眼の手術でしたが、
私にとってはチャンスをもらえた結果となりました。
局所麻酔で手術をした2日後、
検査をして「微調整」という再度の手術もするそうです。
私は調整の必要なく1度でうまくいき、経過も良好です。

【手術後】
「戻り」と言って、再び複視の状態になることもあるそうですが、
半年すぎて今のところ大丈夫です。
ただ、疲れてくると眼球の動きの違和感があります。
眼球運動をよくするとコリが解消される感触が明らかにあります。
患眼の左の視力が少し悪くなりました。

 

私のまわりに、二重に見えて、もう十年以上たってしまったという方がいました。
慣れるしかないと言われて…とのこと。
プリズムメガネや手術、知っているかどうかで、苦痛の軽減が大きく変わる、
このことはとても大切だと思っています。
生きる長さはわからないからこそ、生きる時間の医療上の意味でのQOL(Quality of life)を
意識して大切にしたいと思いました。

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★相談にのってくださったmomoさんのサイト
http://sakura229.blog99.fc2.com/blog-entry-1247.html

★画像をお借りしました。情報のリンクをされています。
聴いて観て話しメモする!
http://watasumu.blog28.fc2.com/blog-entry-325.html

★斜視と斜位についてわかりやすい記述がある「メガネの一心堂」
http://www.megane-isshindo.jp/teamwork/Teamwork.html