おひなさんは飾るときが楽しみ

「あ、もうおひなさん出さなあかんね」という言葉とともに始まる桃の節句。
ああ、もうこの時期か、と季節の流れを感じるのが行事のいいところだな、と思う。
今年は実家にある私のおひなさんを飾る。

やろうやろうと9歳は前のめり。
いっしょにやろうよーと14歳の姉に言ってみるが
「べつにいい」と言われ、「やらないってなんやねん!」と憤慨していた。
うずうずしてやりたい時期も期間限定だ。

まずはおひなさんを飾ってみたら、あとから屏風が置けないやと気づき
ようやく並べ方の図を見ながら、何から置けばいいかなあ、と考えていた。

何かなあ、と合いの手だけ入れて見ているとおもしろい。

「これとこれ、どこが違うんかなあ。あ、ここか。だったら、ここか。」
五人囃子を見比べて、図の通りに置きたい9歳。

「これは何の道具なんやろ?」

つぶやきを聞いてると話したくなってきた。

私が子どものときも、そうやって並べるときがすごく楽しみだったわ。
お人形さんごっこのスペシャル版みたいで。
でも、私は小さい道具を出すのが一番好きやったなあ。
これ、何するもんやろ? どう並べよかな。
そういうこと考えながら触ってるのが、楽しかったなあ。
そやからかな、古い道具とか見るとわくわくするわ。
お雛まつりより、出す時が好きやったんやわ。

ふーん

子どもの時の思いを思い出して子どもに話す。
大人になったら、どっかで思い出すかな。
こういう時間が今は何より、と思う。

母はいつも「旧暦だから4月まで飾る」と言っていた。
一年に一度やから、しまうのが惜しい、と。それが本音。
ま、出すのもゆっくりだから、それにならってしばらく楽しもう。