自分のアップデート、統合失調症の本

平成29年度の「竜王町健康推進員養成講座」での通っている保健センターには、こころとからだの健康に関する本があって、借りることができる。
先日、講座の欠席補講で必要もあり、職員の方からおすすめしてもらった本を読んだ。

この本は、27歳で統合失調症を発症したお母さんと4歳の娘の状況と生活を、娘本人がたどる形で描いたもの。

統合失調症が100人に一人の割合でかかる「ごくありふれた病気」「患者数はがん患者と同じ」と書かれていて驚き、生活の場面ではどうなのかよく知らないということもあらためて気づいた。

マンガで書いているので、暮らしの中の場面や細かな感情の部分もリアリティを持ってよく伝わる。
4歳の子どもだった作者が過ごしてきた31年間の日々は本当に重い。

「生まれてきたことを後悔している!」と母に叫ばずにいられなかった彼女。
それでもずっと母を思い奮闘してきたことに、周りの人はもっと早い時期に気づいて、解決につながるアクションへ手を差し伸べなかったのかと悔しい思いがした。

娘自身の中にもあった病気への無知と偏見は、そのまま母へのいらだち→「対応のまずさ」になっていった。
「放置して悪化していった」
そんな彼女の反省の中に、たくさんのヒントがあった。

わたしは常々「思い込み」の中で暮らしていると思う。

いつかどこかで知った情報や記憶をもとに暮らしている。
けれど、本当は、時間は刻々と流れ、変化する中に生きている。
日々新しい治療法、薬の開発だけでなく、精神分裂病から統合失調症へ、痴呆から認知症へなど、名称の変更でとらえ方まで。

自分をアップデートしていかないと、いつまでも古い蔵の中に暮らしているようなもの。

どういう対応が何をもたらすのか、知っているかどうかでも大きな差が生まれる。わたしの住む農村地域では、これらの蔵の窓を開けるように、新しい風を通すように学ぶ機会を作る必要があると思う。都会に比べて、日常出会う人の数も限られ、新しい情報や気づきの機会もあまりない。

「気軽に相談できる先を少しでも多く持つ関係性」を作っていくことが特にこころの健康に必要だと痛感した。

そういえば、この病気のことよく知らないなあ。
もしそうなら「知る一歩」としてよい本だと思います。

書籍:「わが家の母はビョーキです」中村ユキ著 サンマーク出版