辰巳渚さんのこと
昨日facebook投稿したものを転載します。
報道などでお聞き及びかもしれませんが、家事塾主宰、辰巳渚さんが不慮の事故のため、6月26日に急逝しました。
家事塾家事セラピストとしての私をよくご存知の方々には、驚きとご心配をかけており、あたたかい見守りをいただいております。本当にありがとうございます。
今、お別れに東京に向かう新幹線の中、ようやく文字として綴れました。
家事とは生きること、
家事とは人とつながること、
家事とは次の世代に手渡す文化。
という、辰巳さんが生み出した家事塾の理念は、家事を通して「なぜ?」と問いかけるものであり、日常を見つめることでもありました。
それは、生活の哲学でした。
彼女は、「家事が人生の困難からの回復にどのように関わるのかを明らかにする研究」に取り組んだことがあり、そのとき、わたしは自分の「困難な経験」について彼女と対話する機会がありました。
今回、真っ先に思い浮んだのはそのことでした。
今、こんな困難なこと…
彼女があまりにも突然旅立った日は、かつてわたしが瀕死の怪我を負った日であり、娘の生まれた日でもあり…
困難な経験からの回復…
「吉田さん、もう知ってるよね」と、にやりと笑う辰巳さんが思い浮かび…、語りあう人を亡くしたことに打ちのめされながらも、彼女が文筆家であり生活哲学家であったことが救いであり、感謝しています。
彼女の言葉は、本や新聞で生き続け、
私、おそらくほかの家事セラピストたちも、いつでも彼女の言葉の中にたずねていくことができるから。
わが家にある彼女の本は、自立というテーマで、母としてのまなざし溢れるものが多いのです。
だから尚更、のこされたお子さんのこと、新しく「生活の学校」を始めようとしていた彼女の無念を思うと掛ける言葉はすぐに見つかりません。
彼女がいたから、今の私があります。母としての思いを抱えつつ、家事セラピストとして彼女の思いを伝え、精進しようと思います。
心からの哀しみと悼みとともに。